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新自由主義市場経済と翻訳

多摩大学教授で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの理事長の中谷巌氏は、昨年末に「資本主義はなぜ自壊したのか」という「懺悔の書」を、出版されました。同書のなかで中谷氏は、個人主義的価値観に基づいて形成された、米国の新自由主義的な思想を、

歴史や国情が異なる我が国にそのまま導入しようとしたが、それは明らかに間違いであったと述べています。中谷氏が懺悔しなければならなかった点として挙げたのが「市場」を信用しすぎたという点で、サブ・プライム問題に端を発したリーマン・ショック以降の世界的な金融危機を振り返って、「市場」をどれだけ信用していいのかというものであったと思います。

かつて、米国経済がバブル最盛期のとき、TVでは外資系の投資銀行のアナリストや投資ファンドの米国人代表そして格付会社の日本人女性スタッフが、何かにつけ「それは市場が決めます」と、声高に語っていたことを思い出します。まさしく市場主義経済システム万能といった感じでした。ちょうどそのころ翻訳業界でも、外資系銀行や証券会社から格付資料や財務データなどの翻訳を大量に受注していた翻訳会社や他業種からエントリーしてきた企業がかなりありました。

ところで、中谷氏が前述の書でも述べていますように、情報的に優位にある者が「強欲」に基づいて「市場」を操作していたのが現実で、決して「公正」や「効率性」が担保されてはいなかったことが、後になって明らかになりました。「市場」そのものは原始的な物々交換から始まったわけですが、人類が考え出した最高の発明ではあります。

「市場」は本来的に「投機的」な要素を持ち、歴史的にも必ずバブルを生み、そして崩壊をくりかえすもので、「市場」は、適切に管理されるべきではないかと、述べています。又米国の元財務副長官であったロジャー・C・アルトマン氏も「世界で通貨・銀行・金融システムを管理するグローバルな新しいアプローチが必要である」と述べています。まさしくその通りで「市場」が暴走しないようにすべきかと思います。

グローバルな世界となった今日、その影響はまたたくまに世界中に波及してしまいます。さらに世界的にも所得格差を拡大させる要素を持っていることです。中谷氏は「格差は自己責任」と考える新自由主義が支配的な社会や国では格差の是正は無理であると述べています。かつて中国の指導者が、理想の国は日本だと述べたとか聞いたことがあります。その本音は、「国民の所得格差が少なく、自民党が中国共産党同様に長年一党独裁的に政権を保持していること。さらに官僚体制がしっかりしているから」というものでした。

しかし、市場主義経済が深く浸透したことにより、年収 200万円以下の貧困層が激増し、非正規労働者が増加し、社会に不平等感が蔓延しています。企業の組織内でも従業員間の分断が生じていますが、中長期的にみますと日本企業の国際的な競争力が損なわれることになりかねません。

そして我が国の株式市場は、27年前の1982年当時の水準まで下落し、3月末の銀行や生保そして上場企業の決算に甚大な影響が出ています。この様な危機的状況の中で、翻訳会社各社はあの手、この手の生き残り作戦を展開中ですが、一日も早く、我国企業が得意とする環境分野に世界の目が注がれる日が来ることを願っています。

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